フランクな、よき友人

 プロゴルファーの青木功さんは、言葉はブロークンで流暢な会話ではないが、その英語は実によく通じ、開けっぴろげなアメリカ社会に溶け込んでいて、トーナメントの裏方で働く人たちには抜群の人気がある。選手、大会関係者の間でも「フランクな、よく友人」として歓待されている。彼は言う。

「アメリカ人じゃないから発音や文法がおかしくたってしょうがないよ。彼らだって日本語がちゃんと話せるわけではないんだもの。向こうの話していることは大体分かるし、分からないと易しい言葉で説明してくれる。要は通じればいいじゃない。そりゃあペラペラ早口でまくしたてられたりするとチンプンカンプンの時もあるさ。その時は『そーリー・プリーズ・スピーク・ジャパニーズ』って言っちゃうんだ。わかんないものはわかんない、だから仕方ないよ」

 私たちは、国際人、イコール「正しい外国語を話し、風習、作法にも精通した人」という既成概念を持ちがちだが、それは間違いで、「異文化を持つ人たちに、自らの意思を素直に伝えられるハートの持ち主」こそ真の国際人であるといえるのではなかろうか。

「人と会う時に最低限必要なものはマナーです。マナーさえ備わっていれば、どんな国のどんな地位の人に会う場合でも臆することはありません」とテレビ番組で160カ国余りを訪問した経験のある兼高かおるさんは語る。

 マナーとは、こちらが一歩引く事で、相手に不快感を与えないための作法である。基本的には訪問した国のマナーに従うことが第一だが、それが分からなければ欧米のマナーに従い、それも分からなければ日本のマナーで十分である。日本にだって素晴らしいマナーがある。目上の人を立てるとか、お辞儀の美しさは世界に誇れるものである。ところが、最近はマナーを知らない、実践できない人たちが増えている。真の国際人というのは、英語が話せるとか外国のことをよく知っているとかではなく、まず「自分が日本人だ」という前提に立って、日本の文化や歴史を知り、正しい日本語を話し、そこから派生する美意識や教養、マナーを身に付けた人のことである。
 明治生まれの方々は、外国へ行ってもパーティーの場でも、英語の発音はブロークンでも、実に堂々と振舞っていた。それは、語るべき自分と誇りがあったからである。

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